そうか、もどきさんて、高木弘樹って言うのか。知らんかったよ。
もう35年も昔、1982~84ごろ、ボクは池袋経由で高校に通ってた、そのころの池袋の西武百貨店には朝日新聞日曜版(少年少女版?)の主催する、くりくりコーナーというスペースがあって、漫画家の生原稿などが飾ってあり、ファンの交流に供する『楽書きノート』が置かれてた。その頃はおたくという呼び名もなかった漫画アニメ大好きっ子が集い、ぼくも入り浸ってた。
ファミコンを初めて見たのも、RX78(コンピュータの方)もシンクレア(イギリスのカラーコンピュータ)に触ったのも池袋西武だった。あのころは池袋西武は最先端だった。
GIJE、かえでちゃん、姉御、おいちゃん、石井さん、高澤さん、ZEX-KID、トチローさん、ローカルさん、なるせさん、清瀬さん、ゾンビーさん。今、名前を思い出せるのはこれくらいだけど、もっともっと沢山の人に出会った。(GIJE以外はもう何十年も会ってないな)
ここで出会った都立大山高校のマン研の部活にコッソリ参加したこともあった。なんか消失ハルヒみたいだよね?
このノートに、よくもどきさんが落書きをしてた。金田伊功もどき作画だからもどきさん(だったよね?今思うととてもそんな方向の人とは思えないけど)
このに集まる漫画大好きっ子は、すぐ外の屋上のテーブルで、だべって、楽書したりしてた。
もどきさんは、そのコーナーでも、多分いちばん絵がうまかった。
うまいだけでなく、まるでなぞるかのように素早く書いてた。消しゴムもあとを残さず線を追いかけるように消せた。今の感覚だとタブレットのアンドゥー並に思える。当たり前だよね。もどきさんはプロの動画マンだし、後のマジカルエミのきまぐれオレンジロードのパトレーバーの原画マンなんだから。
憧れる僕達が何か書いてくれとねだると、もどきさんは「130円」と笑って唱えるのが常だった。動画は一枚130円だからだそうだ。そう言うだけで、話しながら、飲み物を飲みながらずっと何かを書いてた。楽書きノート以外にも。
あの頃の溜まってたアニメーター周りから「アメリカじゃミクロマンがすげえ人気でアニメにもなってるんだぜ?トランスフォーマーってやつ」って教えてもらった気がする。
当時もどきさんが楽書きノートに書いてた少女漫画チックなイラストが、あまりにもビビっと来て、コーナーからもちだすわけにもいかず、こっそりトレーシングペーパーでトレースしたことがあった。今ならモシモシでパシャリなんだが。さっきまでソレをさがしてたんだけど、ついに見つからなかった。ざんねん。
ボクのペンネームはイニシャルのSSだったので、「エス」が通名だった。多分もどきさんはボクのことはおぼえてないだろうけど。なんか書いた方が良い気がしたので、迷ってたけどup
そうか、もどきさん死んだのか。
130円。
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